研究テーマ

非線形拡散方程式の特異性と伝播現象

研究の説明

独立変数が複数ある微分方程式を偏微分方程式といいます.その中でも非線形の拡散方程式とよばれるものを研究しています.非線形拡散方程式を用いると,感染症の伝播問題や生物種の絶滅現象,燃焼現象,あるいは幾何学的な偏微分方程式などを記述することができます.非線形拡散方程式の解の挙動を無限次元力学系の観点から,数学的に厳密にとらえることに興味があり,具体的には下記の問題を研究しています.

(1) 爆発問題: 非線形熱方程式において解の空間的な最大値が有限時間で発散する現象を「爆発」といいます.たとえば固体燃料の発火現象や流体の渦度に関する方程式などがそのモデルとして知られています.爆発問題の研究では解が爆発する時刻と場所,爆発時の解の形状,あるいは爆発後の解の挙動などが興味の対象になります.

(2)反応拡散方程式: 感染症の短期的な流行過程を決定論的に記述する反応拡散方程式や,生物種の絶滅を記述する被食・捕食モデルに対する反応拡散方程式の解の漸近挙動を解析しています.

(3)超速拡散方程式: 対数拡散方程式という未知関数の負巾を拡散係数に持つ非線型拡散方程式の解の挙動を解明しています. この方程式は未知関数がゼロに近付くと拡散係数が発散して特異性が生じ,解が有限時間で消滅します.対数拡散方程式は,薄膜運動や2 次元リッチ流,ボルツマン方程式のカーレマンモデルの特異極限で得られる方程式でもあります.

(4)平面内の曲線が曲率に依存して時間発展する曲率流方程式など幾何的学な偏微分方程式の研究も行っています.

研究対象

結晶成長の界面運動、数理生態学の種の空間分布、発火現象のような爆発現象を記述するため

さまざまな非線形放物型方程式が考案されている。
幾何的偏微分方程式の解の特異性、反応拡散方程式の伝播現象、
非線形熱方程式の爆発問題などに興味をもって研究しています。





2014年度


下條ゼミ写真